先月から庭の山茶花が咲き始めました。
山茶花によく似た寒椿も赤い花を咲かせています。
花の少ない季節、濃い緑の葉に隠れるように静かに咲くピンクや赤の可憐な花が寒々とした庭に彩りを添えてくれます。
山茶花は日本が原産地だそうで、椿科、学名はCamellia sasanqua。
私は山茶花という字が素朴で好き。以前はこれを素直に読めばサンザカなのに、なぜサザンカというのか不思議に思っていました。
あるとき、ふと目にした文章で疑問が解けました。
それは「言葉には誤用されるうちにそのまま定着して変化していくものもある。だから間違った用法もいつか正しいものになるやもしれず、言葉というものはかく変化しうつろうものなのだ」という趣旨の文で、例として山茶花を取りあげていたのでした。
山茶花は椿の中国名なのでサザンカとは本来違うものだそうなのですが、それがいつからか使われるようになり、読み方はサンサカがササンカ、サザンカと変化していったということです。
山茶花の好きなところは、春の椿のように色気なくボタッと花が塊ごと落ちたりせずに、花びらが一枚づつハラハラと桜のように散っていくことでしょうか。そんなはかなげなところが魅力的。
もうひとつ、花びらの形が実にかわいらしいのです。こんな乙女のようなハート型。庭掃除をすると拾って手に取り、かわいいなあと眺めたりします。そして山茶花が美しい季節になると、はく息も白くなり、いよいよ本格的な冬になるんだなあと実感するのです。