先日、友人とふとしたことから歌の話になりました。
彼女は和田アキ子の「
あの鐘を鳴らすのはあなた」をずっと火事の歌だと思っていたというのです。私は思わず「え?」と聞き直しました。彼女が試しに友人に聞いてみたら、その人も子供の頃そう信じて聞いていたとか。彼女の故郷には火の見櫓があり天辺には鐘がついていたそうです。
歌詞を見ると「町は今 眠りの中 あの鐘を 鳴らすのは あなた」とあり、確かに子供なら‘火事だ!深夜眠っている人をあの鐘をたたいて起こそう!‘と連想するかもと納得しました。はたして作詞家はどんな鐘をイメージしたのでしょうか。
それから歌詞の勘違いの話題になり、野ばらの歌詞「野中のバラ」を「
夜中の薔薇」と思った向田邦子のエッセイ、重松清の「
きよしこ」も「きよしこ の夜」が由来だったと次々と出てきました。
そういえば私も「
どんぐりころころ」の歌詞をどんぶりこではなく、どんぐり子と覚えて(どんぐりの子っていったい何?)歌っていたし、「
赤い靴」はいてた女の子は異人さんじゃなくていい爺さんに連れられて行ったと思っていました。疑問に思うこともなかったのですからおかしいですね。
きっと誰もが何かしら子供の頃の楽しい「思い違いの歌」を持っているのではないでしょうか。気分が晴れないとき、ちょっと落ち込み気味のときにはこんな昔のエピソードを思い出せば、思わすニヤっとして気持ちが軽くなるかもしれません。
私が初めに入学した小学校の校歌には「いざいざ共に励みつつ」という歌詞があり、校庭に整列して歌うときに、かわいい悪ガキくんたちがクスクス笑みを浮かべながらこっそり御髪の薄い先生のアタマを見上げて歌っていました。こちらは思い違いじゃなくて確信犯のお話です。